気まぐれ麻婆豆腐

日々の雑記

ティッシュ配り

 

3週間ほど前、井の頭線に乗るために渋谷駅のマーク下を通った時に、いつもと違うティッシュ配りの光景に目を惹かれた。

 

「コンタクトのア●シティ」と背中に書かれた服を着た人が2〜3人体制で配っていて、ほとんどの人はスルーするけどたまに自分から貰いに行く人もいる、というのが普段のマーク下のティッシュ配りのイメージだ。

 

この日は違った。

 

ア●シティの人はいつも通りティッシュ配りをこなしていた。いつもと違ったのは、その隣でティッシュを配っていた別団体の人だった。その人は(見た感じ)20代くらいの女性で、暗い緑色のキャップを被り、同じく暗い緑色のジャンパーを羽織っていた。ア●シティ以外の人がティッシュ配りをするのは普通にあり得ることなので、最初見た時は「あんまり見ない服だなー」くらいに考えつつ、エスカレーターに足を乗せた。

しかしよく見ると、彼女の周りにはまあまあの規模の人だかりができていた。ア●シティがティッシュ配りをしている真横で。さらに、彼女の周りの人だかりというのが、揃いも揃ってオジサンオバサン(もしくはオジイチャンオバアチャン)ばかりだったのだ。

 

なんだなんだ。だんだん遠くなっていく人だかりを見下ろしながら、目の前で何が起こっているのか分からなくなった。

なぜア●シティの方には人が集まらなくて彼女の方にはジャンジャン集まるんだ?

理由を彼女の若さに求めようとしたが、ア●シティの方も配っていたのは若めのお姉さんだったので、その線は無さそうだった。

次に、配られているティッシュに理由を求めた。裏社会系の漫画でティッシュの中とかに覚醒剤を隠して受け渡しする場面をたまに見かけるが、それではオジサンオバサンだけを狙って惹きつけるのは難しいだろうし、そもそもこんな人目につく場所でそんな危ないやり取りなどするわけがない。

となると、彼女が配っているティッシュにオジサンオバサン世代が喜ぶ仕掛けがあると考えるしかない。もしそうだとしたら、それはどんな仕掛けなのだろうか。ここまで考えたところで、エスカレーターから彼女(とそれを取り巻くオジサンオバサン)の姿は見えなくなってしまった。結局何も分からないまま、駒場に着いた。

 

その日は駒場でクイズをしていたが、クイズ中もティッシュ配りのことが頭の中のどこかにいてムズムズしたので、帰りの電車の中で自分なりに考えて結論を出すことにした。

オジサンオバサンが喜ぶ仕掛け。たどり着いた答えが、「よく分からない梅の香り」のついたティッシュ。小さい頃、出かける先々で知らないオジサンオバサンたち(特にオバサン)がよく飴玉をくれたのだが、その飴玉というのは大体が子供の好みとはやや離れた味のものだった。圧倒的に梅味が多かった。昆布味とかももらった気がしないでもない。そういう「なんとなく渋い味のものを配る」という習慣をティッシュに応用したわけか。なるほど、これは賢い。

......あれ?そういえば「オバサンたちが飴を配るのは、自分がもらった時に嬉しかったから」みたいな話を聞いたことがあるけど、この理論でいけば、このティッシュをもらったオジサンオバサンはティッシュをまた誰かに配ろうとするのでは?いろんなところで配られている梅の香りティッシュをかき集めて、今度はそれをオジサンオバサンが配る。それを受け取った別のオジサンオバサンがまた誰かに配って、それを受け取ったまた別のオジサンオバサンが...の繰り返し。すごい。賢いどころの騒ぎじゃない。梅の香りフィーバーの到来だ。ただでさえお年寄りが多いこの社会、日本中のティッシュが梅の香り仕様になるのにそこまで時間はかからないだろう。3年後くらいには矢島美容室あたりが突然活動再開してPRソングを出したりするんじゃなかろうか。フジヤマ、スシ、テンプラ、ウメノカオリティッシュ

 

今このブログを読んでいるあなたのもとにも、梅の香りティッシュが少しづつ近づいているかもしれませんよ。その旨お忘れなきよう。